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女子ジャンプは高梨沙羅だけじゃない。
今季絶好調、伊藤有希の“五輪観”。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2017/01/05 11:00

女子ジャンプは高梨沙羅だけじゃない。今季絶好調、伊藤有希の“五輪観”。<Number Web> photograph by Shino Seki

12月18日の吉田杯では、同飛距離ながら飛型点で高梨沙羅を上回るジャンプを見せた伊藤有希。

高梨沙羅が持っていた141mの記録を破って。

 昨シーズンを締めくくる2016年3月の「伊藤杯シーズンファイナル」は、その成果が出始めた大会だったかもしれない。高梨沙羅が持っていた141mの大倉山ジャンプ競技場のバッケンレコードを破る145mを記録し、優勝したのである。

 今シーズンの成績には、夏場の陸上トレーニングもいきていると分析する。

「筋力が増えたことがジャンプの安定につながっていると思いますし、体のコンディションも維持しやすくなりました」

 昨シーズンを、そしてトレーニングを今シーズンにいかせたのも、長年の真摯な取り組みがあればこそである。

 そんな伊藤の心には、2018年の平昌五輪がある。そしてソチ五輪で感じた思いがある。

 女子ジャンプにとって初めてのオリンピックとなったソチでは7位入賞を果たしたが、試合後、涙を流し続けた。

 あらためて、試合をこう振り返る。

「1本目はタイミングをはずして、すごく悔しかったという思いがあります」

 その1本目は踏み切りのタイミングが遅れて10位にとどまった。2本目では全体の2位を記録しただけに、「1本目が……」と悔いは強く残る。

五輪という場所で感じた、日常と特別さの間。

 心に残るのは、悔しさばかりではない。

「葛西監督からの助言で『オリンピックだからといって特別なものは何もないし、いつもと同じように準備をしていつもと同じように臨むんだ』と教えていただいたので、特に緊張とかはせずに試合には臨めました。ただ、スタート台に立ったときに、観客席に下川の応援団が見えましたし、テレビの前でもたくさんの方が応援してくださっている、女子の先輩たちが頑張ってくれて自分はここに立てているんだなと思って、今まで以上に感謝の気持ちがこみあげてきました。これがオリンピックなんだなというのは思いましたね」

【次ページ】 一度飛んだジャンプ台ならば、不安はまずない。

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