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サトノダイヤモンドがジンクス破る。
3冠を3強で分け合う最強世代の結末。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/10/24 11:15
サトノにGIタイトルを、ディープに3000m勝利をもたらしたサトノダイヤモンド。ジンクスというのは一度破れると続くものだが、果たして。
自分の値段である2億4150万円を余裕で突破。
この怪物のエネルギーをギリギリのところで溜め込み、3000mを乗り切ったルメールの騎乗も素晴らしかった。
ディープインパクト産駒は、菊花賞に24頭出走して初の戴冠。史上8頭目のクラシック制覇と、初の世代限定GI制覇を達成した。
「空前のハイレベル」と言われた牡馬クラシックは、ディーマジェスティが皐月賞、マカヒキがダービー、そしてサトノダイヤモンドが菊花賞と、「3強」が三冠を勝ち分ける結果となった。
サトノダイヤモンドは7戦5勝。前走まで2億2560万円の賞金を稼ぎ、自分の値段である2億4150万円にあと少しのところまで来ていたのだが、今回1億1500万円を加え、余裕でプラスになった。
里見治オーナー(74・セガサミーホールディングス会長兼社長)は、JRAの馬主として初出走から24年8カ月目にしてGI初制覇を遂げた。これまでのGIでは2013年菊花賞のサトノノブレス、'15年ダービーのサトノラーゼン、今年のダービーのサトノダイヤモンドの2着が最高だった。
強い馬が名手にエスコートされた見応えのある3000m。
2着には9番人気のレインボーラインが突っ込んできた。前走の札幌記念で、昨年の年度代表馬モーリス(2着)から差のない3着になった実力は本物だった。
3着は武豊のエアスピネル。距離が不安視され6番人気にとどまったが、道中ずっと掛かりながらも、直線では内を突き、最後まで食らいついた。13番という外枠からある程度の位置をとり、武ならではのテクニックで、なだめ、すかしながらレースを進めた。内枠を引いていたらと思わせる健闘ぶりだった。
2番人気のディーマジェスティは、勝負どころからサトノダイヤモンドの外に併せて叩き合いの形に持ち込もうとしたが、直線で置き去りにされ、4着に敗れた。春よりも体ががっちりして、寸が詰まった短距離向きの体型に見えた。しかし、それ以上に、プラス6キロの馬体重に現れていたように、余裕残しのつくりだったことが響いたのではないか。
強い馬が名手にエスコートされてそれぞれに力を出し切った、見応えのある3000mだった。