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ディープでも、オグリでもなく…武豊を驚かせた“表紙を飾る馬”の名前「実は、サイレンススズカにしようと思っているんです」

posted2021/10/30 17:04

 
ディープでも、オグリでもなく…武豊を驚かせた“表紙を飾る馬”の名前「実は、サイレンススズカにしようと思っているんです」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

ともに無敗のエルコンドルパサーとグラスワンダーを一蹴した毎日王冠。GIIとしては異例の大観衆が東京競馬場に詰めかけた

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寺島史彦(Number編集部)

寺島史彦(Number編集部)Fumihiko Terashima

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Sankei Shimbun

 発売中のNumber PLUS「名馬堂々。」は、1980年の創刊以来、Numberの誌面を彩ってきた競馬ノンフィクションの傑作選だ。発売翌日に増刷が決まり、名馬たちの物語には時代を越えて魅力があることを改めて実感している。

 表紙を飾っているのは98年の毎日王冠で返し馬に臨むサイレンススズカ。Number456号「秋競馬GⅠプレビュー『最速伝説』」の表紙にもなっている写真だ。この号の発売10日後に行われた天皇賞・秋のレース中に、サイレンススズカは故障し、競走中止。安楽死の処分がとられた。

 サイレンススズカという稀代のサラブレッドの持つ美しさ、儚さが見事に表現されたこの写真は、当初からこの号の表紙の最有力候補だった。だが、数々の名馬に跨ってきた武豊騎手ならどの馬を選ぶだろう。単純な好奇心から、武騎手にインタビューした際「表紙はどの馬がいいと思いますか?」と尋ねてみた。 

「やっぱり、ディープ(インパクト)じゃないですか。うーん……やっぱりディープかな。オグリキャップも凄かったけど。サンデー(サイレンス)の仔だったというのもあるし、近代競馬の象徴みたいなものだからね、ディープは」

 この答えに、「実は、サイレンススズカにしようと思っているんです」と打ち明けると、武騎手は少し驚いたような表情になった。ただ、インタビューの聞き手を務めていた片山良三さんが「あの馬のドラマ性は凄いからね」と言うと、武騎手は頷きながら、

「スパッと終わっちゃったからね。(サイレンススズカが)もしいたらっていう……」

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