4バックの権化、モウリーニョ・ユナイテッドに挑む。

　アザールが「ナンバー10」を与えられてノっている様子は、プレッシングからも見て取れた。敵の甘いパスを見逃さず、ペナルティエリアの手前中央からタッチライン沿いへとダッシュ。ダニー・ドリンクウォーターに届く寸前にボールを物にし、体を張ったキープでFKを奪っている。勝利を決定付けた3点目は、そのFKに端を発するものだ。

「監督が目指す戦い方はわかっているし、システムをもっと上手く機能させることもできるはずなんだ。ひたすら練習あるのみさ」と、チェルシーの背番号10は語る。昨季10位に終わったことで欧州カップ戦がない今季は、新システム習得に多くの時間を割くこともできる。またコンテがオーナーに直談判したことで、早ければ今冬の移籍市場で新たな「素材」を購入することもできそうだ。

　特にセンターバックだ。ブラニスラフ・イバノビッチは衰えを隠せなくなり、クルト・ズマは今年2月に負った膝の怪我から復帰中という事情もあるが、過去2試合では右SBが本職のセサル・アスピリクエタが3バックの右を務めている。元監督のジョゼ・モウリーニョに「ミスター1対1」と呼ばれたアスピリクエタは、持ち前の集中力と粘り強さを発揮して新たな仕事をこなしているが、理想的な3バック構成員とは言い難い。

　左サイドも同様で、テリーは怪我が癒えても若くはならず、4バックでコンビを組んできたギャリー・ケーヒルは、長らく右CBを定位置としてきた。それだけに補強ポイントであることは間違いない。

　3-4-3に切り替えたチェルシーは、狼狽していた連敗時とは別人のようにピッチ上を闊歩している。指揮官が「アーセナルとリバプールに負けているだけに重要だ」と意識する10月23日のマンチェスター・ユナイテッド戦に、自信を取り戻して挑むことができるようになった。

　再会するモウリーニョの下で基本だった4-2-3-1を脱ぎ捨て、3バックという「コンテ色」の“スーツ”を身につけて。