猛牛のささやきBACK NUMBER
糸井嘉男は体も目もやっぱり超人。
イチローも通った専門家に出会って。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/09/24 11:00
大谷翔平の164kmを打ったというのは、なんとも糸井嘉男らしいエピソードだ。すでに数々ある伝説に、また新たなものが加わった。
「“超人”と言われますけど、確かにそうだな」
そうした目の使い方は、盗塁にもおおいに役立っていると糸井は言う。
「やっぱり1点を真剣に見ていたら、体がこう、固まっちゃうから」
投手の動きを広く見ることで、体が固まらずスムーズにスタートを切ることができる。
また、糸井は「ランナーコーチャーの風岡さんや佐竹さんにもアドバイスをもらっているので、だいぶ助かってます」と感謝する。
風岡尚幸内野守備走塁コーチ、佐竹学外野守備走塁コーチが、相手投手はどのカウント時に変化球が多いかなどの傾向や癖を細かく分析して伝えている。風岡コーチは言う。
「あの年齢で、あれだけマークがきつくなって帰塁もバンバン頭から帰って、体の疲労は相当なものだと思うけど、その中で走れるのが彼のすごさ。日頃の鍛える努力のたまものだと思う。
35歳で50の大台というだけですごいけど、正直、シーズン前半からとばしていたら、70ぐらいは行けたのかなと思うので、もったいない。それぐらい嘉男の能力、体はすごい。よく“超人”と言われますけど、確かにそうだなと思いますね」
9月22日現在、盗塁数2位の埼玉西武・金子侑司との差はわずかに1と、猛追を受けているが、残り7試合、数字を積み上げて逃げ切れば、今オフのFAの目玉でもある糸井の超人伝説に新たな1ページが加わることになる。