野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
阪神に“掛布二世”の長距離砲を──。
中村GMが次代に託したチームの未来。
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/09/08 07:00
フレッシュオールスター戦での掛布雅之二軍監督。どこの球場でも、掛布監督は大人気だ。
中村GMの「宿題」は若き長距離砲の育成だ。
1年目指揮官として夢中で駆けたシーズンは間もなく終わる。9月。中村さんがこの世を去ってから、間もなく1年になる。あのとき、悲しみに暮れた掛布はこう言った。
「来年以降、若手を一軍に上げて活躍してもらうのが、天国にいるGMに対する恩返しになると思う。いま、可能性のある若手が数多くいます。チームが優勝することが最大の恩返しだと思う」
今年、阪神は深刻な現実を突きつけられた。甲子園で左打者が本塁打を架けたのはわずか3本、たった2人だ。かつて自身が浜風をものともせず右へ左へ描いた放物線の再現こそ、中村さんが天国から託した「宿題」だろう。道半ば。先人の思いを継ぐ挑戦は続く。