スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
なぜ試合中に選手の家族を映すのか。
五輪報道で感じたストレスの正体。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJMPA
posted2016/08/18 07:00
選手と家族の関係性をドラマ化する手法がスポーツ報道の常套手段となって久しい。しかし、試合中まで多用すべきものだろうか。
スポーツ中継の大原則は、試合の流れを追うこと。
もちろん試合が終わってから、家族の姿が映るのは構わない。どんな表情をしているか、映像として興味深いケースもある(内村航平が個人総合で勝った後の、お母さんのリアクションはなかなか良かった)。
スポーツ中継の大原則は、あくまで試合の流れを追うことである。家族の映像の多用は、試合の魅力を損ないかねないものだと、今回の中継を通じて改めて感じた。
オリンピック中継が大きく変わったのは1996年のアトランタ・オリンピックからだが(アイドルの起用、日本優先など)、東京オリンピックに向けては、こうした構成の中継が増えていくと思う。時代の趨勢だろう。
たくさん見られるのはうれしいけれど、ストレスも引き受けないといけないってことですな。