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好調広島の流れに乗った下水流昂。
和製大砲が覚醒したきっかけとは? 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/08/07 07:00

好調広島の流れに乗った下水流昂。和製大砲が覚醒したきっかけとは?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

下水流は8月4日終了時点で35試合出場ながら5本塁打、OPSは.906とその打力が開花しつつある。

今季初安打にプロ初本塁打……大きくなる存在感。

 6月10日、空白のときを経て下水流は1軍に帰ってきた。再昇格後即初スタメンで今季初安打を放つと、肩の荷が下りたように快音を響かせた。16日にはプロ初の猛打賞。19日にはプロ初本塁打を記録し、徐々にチーム内での存在感を高めた。

 たが当然、相手も警戒を高める。投手と打者によるせめぎ合いは半永久的にループする。

 6月26日阪神戦、1点を追う9回1死満塁の好機でフルカウントからバットが出ずに見逃し三振。続く會澤翼が同点打を放ち、チームは勝利したものの、悔しさが残った。それでも次の打席となった29日ヤクルト戦の代打出場で左前打と応えると、7月3日DeNA戦(横浜)では2打席連発。心のコントロールによって目に見えるステップを踏み、首脳陣の信頼を勝ち取っていった。

 7月末には18打席連続無安打と結果が出ない日々もあった。「まだまだ(心のコントロールが)できていない。でもいろいろ経験できている。それは大きい」。梅雨は明け、夏本番を迎えた季節。額に流れる大粒の汗を拭う表情は、あの日にも増して晴れやかだ。

 もう、精神的に弱い姿はない。「そんなに簡単なものじゃない」と、前を向く強さが今の下水流にはある。

 社会人時代を過ごしたホンダの創業者である故・本田宗一郎氏は、こんな言葉を残している。「私の最大の光栄は、一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きるところにある」と――。

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