ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
大仁田vs.船木の電流爆破マッチ実現。
“持たざる者”の知恵と勇気が交錯。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byYukio Hiraku
posted2016/07/19 07:00
前哨戦で大仁田を締め落とす船木だが、大仁田にとっての“我が家”である電流爆破でどのような戦いを見せるのか。
「メイド・イン・ジャパン」のプロレスを見せる時。
思えば、大仁田と船木は意外なことに共通点が多い。ともに中学卒業後にプロレス入り。新人時代から次期スターとして期待されながら、育った団体を離れ、若いうちに引退も経験している。そして最初の引退後の大仁田同様、船木もヒクソン戦で引退したあと、映画俳優だけでは食っていけず、夜間の肉体労働で家計を支えたことをのちに告白している。
ともに栄光と挫折を経験し、それでもいまもなおプロレス界の第一線で生き続けている。
現在、世界のプロレス界は、WWEがグローバルスタンダードとなり、WWE的なエンターテインメント性溢れるプロレスだけが「プロレス」だと思われる風潮が広がっており、それは日本とて例外ではない。
しかし、日本のプロレス界は世界に類を見ない、メイド・イン・ジャパンのプロレスを作り続けてきた長い歴史がある。WWEの人気が広まりつつあるいまこそ、それを思い出さなければいけない時期に来ているのではないか。
力道山が生み出し、馬場と猪木によって形づくられた日本のプロレスは、馬場、猪木の直系の弟子である大仁田と船木によって、'90年代に一気に多様化した。
その大仁田と船木が初めて一騎打ちを行う、7.24大阪の電流爆破マッチは、日本のプロレスにしか生み出せない闘いとなるに違いない。