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守備でチームの防御率を変える男。
西武・永江恭平が捨てたプライド。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/07/14 17:00

守備でチームの防御率を変える男。西武・永江恭平が捨てたプライド。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

内野の守備力がチームの勝敗に与える影響力は、想像以上に大きい。永江は、守備で試合の結果を変えられる男だ。

昔から持っていたプライドを捨てて……。

 永江は語る。

「バットを長く持っていると、甘い球が来てもファウルになったり、なかなかとらえることができないなって以前から感じていました。短く持てば、バットをちゃんと扱うことができて、ミートすることにつながります。昔から自分が持ってきたもの……簡単に言えばプライドなんですけど、それを捨てて、どうすればいいかってことを最優先した結果です」

 永江は、高校時代は投手兼遊撃手として活躍し、高校通算27本塁打を放った打力の持ち主だ。しかし、プロの世界には長打力を売りにする選手は山ほど存在する。

「自分で自分を知って、その上でどうすればボールをしっかり弾き返せるかと考えると、バットを短く持つという方法もアリじゃないかと思いました。もしそのアドバイスをもらえなかったら、今でも(バットを)長く持って振り回していたと思います」

 ただし、周りからどんなに指摘されても、それを腑に落ちるまで咀嚼し、自身が納得して取り組まなければ結果にはつながらない。上本の一言をきっかけに、永江が自身を省みて、心から「変わりたい」と考えた結果の打撃改革だった。

首脳陣に言われた「打てればレギュラー」。

 プロ入り2年目の2013年には、一軍で99試合に出場。しかし打率は1割台で終わる。その後、スイッチヒッターに挑戦するなど、打撃向上のために試行錯誤を繰り返してきた。チーム内はもちろん、リーグでもトップクラスの守備力を持ちながら、なかなかレギュラーに定着できない4年間だった。

「これまでも、何かを変えないといけないと思って練習はしてきたんですけど、なかなか結果につながりませんでした。首脳陣からも直接“打てればレギュラーになれる”と言われてきましたけど、なんせ結果が出なくて、その中で打てない自分にイライラするばかりでした。今は試合に出させてもらってありがたいし、この打撃を続けたい。じゃないとアドバイスしてくれた先輩やコーチにも申し訳ないですから」

 自分を客観的に見つめ、新しいスタイルを模索中だ。

【次ページ】 永江がレギュラーになればチームの防御率が変わる!

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