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野球界の奇妙な「不公平論」を斬る。
70人枠撤廃も、コリジョンルールも。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/07/08 17:30

野球界の奇妙な「不公平論」を斬る。70人枠撤廃も、コリジョンルールも。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

選手、そしてファンが納得する形を模索するための変化を怖れては何もできない。コリジョンルールはその最たるものだ。

問題が露見したら、改善は早い方がいいに決まっている。

 もちろんシーズン中の運用の変更が100%正しい訳ではないのは誰もが分かっていることだ。

 ただ、問題が露見したなら、それを改善するのは一刻も早い方がいいに決まっている。

「現行のルール運用のためにキャンプから練習をしてきたのだから」という現場の声もあると聞くが、条件は12球団同じである。そこで新しい運用に適応していくのも、これもまたプロの技術ということになるのではないだろうか。

 NPBは前半戦が終わる7月13日までに規則委員とセ・パ両リーグの統括らが12球団を回って、現場の監督、コーチに見直し案を説明し、理解を得ていくという。また日本プロ野球選手会でも15日の臨時大会でこの問題を論議する予定だ。その上で16 日には、規則委員会を招集して新基準を決定。オールスター明けに公式戦が再開する18日から新基準での運用をスタートしたい考えだという。

MLBでも、シーズン中に変更の通達があった。

 ひと足先に2014年からコリジョンルールを導入したメジャーリーグ機構(MLB)でも、導入1年目には様々な問題が勃発したが、9月には運営部門の責任者であるジョー・トーリ元ヤンキース監督から「捕手がボールを持たずにブロックしていたとしても、意図的に走路を妨害した明白な証拠がない場合には、セーフにしてはならない」という通達が出されて、そのまま運用された。そうして翌15年7月以降は「捕手の左足がファウルラインに入らず、ライン上にあるときには走路を空けていること」という具体的な解釈が規定されている。

 いまのままでは不都合だという共通認識があるなら、後半戦からの変更は必然である。

 変な「不公平論」を振りかざすのではなく、12球団が一致して最良な方向に動く――当たり前のことではないだろうか。

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