“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
次代の守護神候補はストイックの塊。
中村航輔、リオへの道程で得た哲学。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/07/11 11:00
中村は2ndステージ第1節終了時点でリーグ戦16試合に先発。会いたい人に羽生善治三冠を挙げるほどの将棋好きともいう。
言葉ではなく、プレーで示そうという信念。
「日々の積み重ねが重要だし、積み重ねたものが試合に出ると思う。重要な試合、大会で、より自分がどういう風に積み上げて来たかが分かると思います」
リオ五輪は自分自身にベクトルを向け続けてきた一つの成果を実感する場所でもある。もちろん、彼にとってそれは『ゴール』ではなく、『通過点の一つ』であることは間違いない。
彼が見つめる先は、A代表、そして世界。彼のストイックな自問自答の向かう先はそこにあるからこそ、彼はより言葉ではなく、プレーで示そうという信念が強まっているのだ。それは精悍さを増して行く表情にも現れている。
「日に日に『責任』という言葉の重さを感じるようになりました。チームが勝つためのプレーが出来るGKが理想だと思うので、少しでもそれに近づきたい」
21歳の若き守護神は、妥協すること無く、一日一日を踏み締めて行く。すべてはプレーで示すために――。