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今年の日本ダービーは「名作」必至。
東京の直線は、マカヒキのために。
posted2016/05/28 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
空前のハイレベルと言われている第83回日本ダービー(5月29日、東京芝2400m、3歳GI)のスタートが近づいてきた。
今年の3歳牡馬クラシック戦線には、例年なら「一強」の大本命になってもおかしくない馬が4、5頭いる。
なかでも、敬意を表して最初にとり上げるべきなのは、皐月賞を制したディーマジェスティ(牡、父ディープインパクト、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)だろう。単勝8番人気の伏兵と見られていたが、差し届いたと思ったら、突き抜けていた。
陣営は、以前から左回りのほうがいいと感じていたという。あまりよくないと思われていた右回りであの強さなのだから、順調に調整され、さらに成長した今、適性のある舞台でどんな走りを見せてくれるのか。
過去10年で[4-2-0-4]という絶好の1枠1番を引き当て、よりおあつらえ向きの舞台設定になった。
鞍上の蛯名正義は、デビュー30年目で24度目のダービー参戦。2012年のフェノーメノでは鼻差、2014年のイスラボニータでは3/4馬身差の2着に泣いた。悲願の初制覇なるか、注目必至だ。
産駒の中で、最も父に似た走りのマカヒキ。
皐月賞で2着だったマカヒキ(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)の逆転も充分考えられる。ラスト3ハロンはディーマジェスティの34秒0を凌ぐメンバー最速の33秒9。こちらも明らかに中山より東京のほうがいいタイプだ。
操縦性の高い馬なので、初めての左回りも心配ない。また、どのポジションでも折り合えるので、距離延長は歓迎だろう。皐月賞と同じ2枠3番からロスなく進める。
何より強調したいのは、今年のダービーに出てくる6頭のディープ産駒のなかではズバ抜けて、そして歴代のディープ産駒のなかでも一番と言っていいほど、父に走りが似ている、ということだ。府中の直線で「飛ぶ」サラブレッドの姿を、今週末久々に見られそうな気がする。