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今年の日本ダービーは「名作」必至。
東京の直線は、マカヒキのために。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/05/28 08:00
皐月賞の中山競馬場は直線が310m、ダービーの東京競馬場は525m。マカヒキの脚がより輝くことは間違いない。
10回やって一番多く勝ちそうなのはサトノダイヤモンド。
同じメンバーで10回やったら、一番多く勝つのはサトノダイヤモンド(牡、父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)ではないか。だからといって、1回目のここで勝つとは限らないのが競馬の怖さだ。
池江調教師が皐月賞の前から「最大目標はダービー」と明言していたように、3着だった皐月賞より格段に状態が上向いている。
もともと競馬が上手で総合力が高く、自分の力をキッチリ出し切る優等生だ。今回は、出し切ることのできる力の総量が大幅に増えている。
3着を外す可能性がメンバー中もっとも低いのはこの馬だろう。が、力の近い強豪同士のせめぎ合いから、ドカーンと抜け出す爆発力があるという点では、マカヒキやディーマジェスティに一歩譲るように思えてならない。
2歳王者のリオンディーズ(牡、父キングカメハメハ、栗東・角居勝彦厩舎)は、自ら激流をつくり4位入線5着となった皐月賞で、その力をあらためて証明してみせた。
兄のエピフェネイア同様、一生懸命になりすぎるのか、序盤から行きたがってエネルギーをロスするところがあったが、この中間、舌を縛ることで、折り合い面に進境が見られるようになった。昨年の朝日杯フューチュリティステークスで、最速タイ記録となるデビューから29日目でのJRA・GI制覇をやってのけた天才が、溜める走りを覚えたら……と考えると恐ろしい。
武豊のエアスピネルはまさかの先行策も?
史上最多のダービー5勝を挙げている武豊のエアスピネル(牡、父キングカメハメハ、栗東・笹田和秀厩舎)も、当然、優勝候補に挙げられるべき能力の持ち主だ。ただ、ソツのない競馬で立ち回っての総合力勝負ではサトノに先着されそうだし、極限まで脚を溜めての瞬発力勝負では、マカヒキやディーマジェスティに敵わないように思われる。となると、武は、どんな競馬で「一発」を狙うのか。ひょっとしたら、仏GIのイスパーン賞を10馬身差で圧勝したエイシンヒカリがしてきたような、思い切った逃げ・先行策に出るかもしれない。いずれにしても、楽しみだ。
毎日杯、京都新聞杯からダービーという、'13年のキズナと同じローテーションのスマートオーディン(牡、父ダノンシャンティ、栗東・松田国英厩舎)は、びっくりするほどの爆発力を持っている。
最後の直線勝負にかけるであろうロードクエスト(牡、父マツリダゴッホ、美浦・小島茂之厩舎)も、3着ならありそうだ。