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錦織圭、全仏の初戦は難敵を一蹴。
軌道と時間を自在に操るクレー戦術。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2016/05/24 11:30
ジョコビッチ、ナダルとは決勝まで当たらないドローを引き当てた錦織圭。初グランドスラムは確実に視野に入っている。
過去最高のクレー戦術で「じっくり攻める」。
向こう見ずに攻めてナダルを土俵際まで追い込んだのは、2年前のマドリードだった。
この時は、ハードコートで見せる速攻を赤土に持ち込んで成功した。一方、この数週間の彼の言葉からキーワードを拾うなら、「じっくり攻める」だろう。
攻め急がず、しかも受け身にならず。戦術的に、あるいはマインドセットとして、大きく変わったのがこの点だ。
今年のマドリードでは、「クレーでの戦い方はどの年よりもよくなってきている」と話した。勘所をうまくつかみ、クレーにふさわしい戦い方を自分のものにしつつあることが自信をもたらし、安定した成績に結びついていると見ていい。
ローランギャロスの赤土で四大大会初の頂点を目指すのは、グラウンドストローカーとして、さらに成熟した錦織である。