“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
齊藤未月と神谷優太は17歳&18歳。
湘南の若手を伸ばす“チョウイズム”。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/05/13 17:00
神谷にアドバイスを伝え、ピッチ上に送り出すチョウ監督。厳しい戦いが続くリーグ戦だが、選手と監督の絆は強い。
「僕が監督になった中でも非常に印象に残るプレー」
4月に入りチョウ監督は、このふたりを積極的に起用しはじめる。20日のナビスコカップ・磐田戦では齊藤をスタメンに起用しつつ、前半35分には(味方選手のアクシンデントが理由ではあるが)神谷も投入。その後、齊藤が交代する後半28分まで、17歳と18歳のボランチコンビはピッチ上で堂々としたプレーを見せた。チョウ監督は磐田戦後に、こうコメントしている。
「まだまだ人間的にも技術的にも戦術的にも、課題はたくさんありますけども、今日見せた彼らの堂々としたプレーは、僕が監督になった中でも非常に印象に残るプレーで忘れられない日となりました」(公式HPより)
そして4月24日のJ1リーグ第8節・大宮戦では2人は同じピッチに立っている。
選手を信じて使い続け、育てる、“チョウイズム”。
「17、18歳になったばかりとか、いろんな見方があるけど、今持っている力をちゃんと出せていない選手は使っていないから。年齢ではなく、いかにピッチで自分の実力を出せるか。実際に10代の選手も30代の選手でも、同じピッチに立ったら言い訳無用」
こう語るチョウ監督の哲学は、若手にチャンスを与えるだけでなく、たとえ結果が出なくても使い続け、キッチリ育てあげること。
J1に昇格し、J1で苦しんだ末に降格し、そしてJ2で実績を積み上げ再びJ1に昇格する……。まさに紆余曲折が続く厳しいチーム状況の中でも、チョウ監督はこの“湘南フィロソフィー”をブレずに貫き続けた。この“チョウイズム”とも言うべき独特のノウハウと、クラブ全体に浸透している育成にまつわる哲学があったからこそ、菊池も、遠藤も、亀川も、永木も、三竿も大きく成長することができたのだ。
いま、十代の2人はチョウ監督の厳しい指導を受けながら、将来のチームの柱になるべく、着実に経験を積んでいる。2人はお互いに刺激をし合って、さらに成長をしようとする相乗効果をも生み出しているように見える。