“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
齊藤未月と神谷優太は17歳&18歳。
湘南の若手を伸ばす“チョウイズム”。
posted2016/05/13 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
高校3年生の齊藤未月と高卒ルーキーの神谷優太。
J1リーグで苦戦が続いている湘南において、将来のクラブを担う才能ある若手の存在が光となっている。
過去を振り返ると、湘南は想像以上に”育て上手”なクラブだということが分かる。下部組織から有望な選手を抜擢したり、高卒、大卒ルーキーを起用するクラブは当然他にもある。だが、浦和、横浜FM、G大阪などの“ビッグクラブ”と言える大きなクラブや、J1にしっかり定着している中堅、さらに言うとJ2にあっても資金力のあるクラブとの環境を比較すると、湘南の環境が決して恵まれていないことは確かである。では、なぜ育成が上手いのか……。
“湘南フィロソフィー”で磨かれる選手たち。
他のクラブでプレーしているビッグネームを移籍で獲得したり、大学や高校サッカーのスター選手を複数クラブと競合しながら獲得するのは、正直なところ厳しい。現実問題として、3度目となるJ1昇格から2シーズン目を迎えているが、戦力的にも降格候補に挙げられているくらいなのだ。
そんな環境下で、「メイド・イン・湘南」のタレントたちが着々と育っているのは、クラブ全体として育成のビジョンが明確だからだろう。資金力での競争力がないのならば、自前の下部組織からの引き上げと、まだ有名でなく競合が少ない質の良い選手の発掘に注力し、彼らを積極起用し、立派な戦力に仕立て上げる。この“湘南フィロソフィー”に基づいた育成のサイクルで、齊藤と神谷の才能は今、磨かれようとしている。
彼らの前にも、この“湘南フィロソフィー”が生み出した選手は沢山いる。
菊池大介、遠藤航などは、湘南ベルマーレユース所属時からトップチームに抜擢され、その才能を確かなものにしていっていた。