畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
畠山健介が痛感した「人気」の困難。
日本からの応援ツアーが中止に……。
posted2016/04/28 07:00
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph by
Akio Hayakawa
3月最終週、僕が所属するファルコンズはホームでロンドン・ワスプスとの試合を控えていた。
週始まりのミーティング前、スクラムコーチのミッキー(・ワード)に呼ばれた。
ミッキーはいつも穏やかな表情をしている。FWだけのミーティングの終わりにはゲーム(早食い競争とか)をしたり、とても優しいコーチだ。日本人の僕にもよく接してくれた。彼の英語が訛っているのかは定かではないが、僕にとっては聞きやすかった。
穏やかで優しく、聞き取りやすい英語を話すミッキーが、この日は少し真面目な表情で、少し早口気味に僕に話しかけた。
週末のワスプス戦翌日の月曜日、グロスターでAリーグの試合がある。それに出るという話だと理解した。全体ミーティングで月曜日のAリーグ、グロスター戦のメンバー発表がされ、スターティングメンバーとしてプレーすることを確認した。
ミッキーはこの試合でチャンスを活かし、プレミアシップメンバーに戻って来いよと言ってくれた。
こちらに来て初めての「3番」は、Aリーグの試合となった。
予定されていた日本からの応援ツアーは中止に。
日本には「トップリーグ」とは別に「サテライトリーグ」が存在する。公式戦ではなく、トップリーグでチャンスがなかったり、プレー時間が短い選手や若手などがプレーし、トップリーグのゲームメンバーになるためにアピールする場だ。
Aリーグは、日本のサテライトリーグのようなものだ。
そしてワスプス戦はノンメンバーだった。ワスプスにはサントリーで一緒にプレーした元オーストラリア代表ジョージ(・スミス)がいるので、戦いたかったが残念だ。
サントリー・サンゴリアスのスポンサーである京王観光さんが、僕の応援ツアーを企画してくれていた。それがワスプス戦だった。
せっかく日本から来てくれるのにノンメンバーなんて、ファンの方に申し訳ない――と思っている矢先、エージェントとサントリーのスタッフから、応援ツアーは中止になったと告げられた。参加者が最低催行人数に達しなかったのだという。
普通ならショックを受けることだが、ノンメンバーだったので、ツアーが行われていればファンの方々にとっては“無駄足”になるので、少し安堵する気持ちが芽生えたのも事実だ。