錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
今年こそほしいマスターズのタイトル。
錦織が勝ち上がるためには何が必要?
posted2016/03/29 17:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Manuela Davies / Mannys photography
インディアンウェルズ・マスターズで自己最高のベスト8入りを果たした錦織圭は、より相性のいいマイアミへと舞台を移し、連続2大会目のマスターズ・シリーズに臨んでいる。
グランドスラムとマスターズ・シリーズはどれも優勝目指して最高の状態で臨むよう努めると言いながらも、やはり中でも「気合」が入る大会がある。その一つがこのマイアミ・マスターズだ。拠点のあるフロリダでの大会はホーム感も強く、サーフェスや気候などコンディションとの相性もいい。一昨年にはロジャー・フェデラーも破ってベスト4に進出した。今年も快調で、3回戦ではアレクサンドル・ドルゴポロフを6-2 6-2で一蹴、ベスト16に駒を進めている。
このドルゴポロフは錦織自身が好きな選手のひとりに挙げる選手で、かつてダブルスを組んでツアー準優勝したこともある。最高位は2012年の13位だが、今は29位。天才的なラケットさばきから生まれるトリッキーなプレーでファンは多いが、ツアー優勝は2回でグランドスラムの最高成績がベスト8という実績は、その才能にともなっていないという声もしばしば聞こえる。
才能を無駄にしている選手たちも多い!?
ドルゴポロフに限らず、このような選手のことを英語で〈Underachiever〉という。「宝の持ち腐れ」という日本語はややいきすぎな感があり、一言で表す日本語が思い浮かばないのだが、テニスをよく見ている人なら一度くらいは誰がそれに当てはまるか考えたり、話題にしたりした経験があるかもしれない。実際、世界中のテニスサイトやテニス雑誌等で、「誰がもっとも才能を無駄にしているか」のような記事やアンケートやリストアップなどを目にすることができる。
必ず名前が挙がるのがガエル・モンフィスやリシャール・ガスケ、マルコス・バグダティスなどで、時折見るのがジョーウィルフライ・ツォンガやフェルナンド・ベルダスコ……フランス系の選手が多いのは偶然ではなさそうだ。人生のように、テニスにおいても〈遊び〉のエッセンスが強すぎるのではないか。