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スタートよし、コーナーよし、直線よし。
藤田菜七子が初騎乗で技術を証明。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byMasashi Adachi
posted2016/03/04 11:30
6回の騎乗で4度掲示板につっこんだ藤田菜七子。多くの人が彼女の騎手としての技術を見直したに違いない。
直線で伸びるのは、道中の当たりがいいから。
根本師はつづける。
「最後の直線で伸びるのは、道中の当たりがいいからですかね。調教を見ている限り、まだまだだなと思っていましたが、こうしてレースのスピードのなかでステッキの持ち替えなどを見ると、スキルが高くなっている。私が思っていたより上手いですね」
1998年から2005年まで、北関東の高崎競馬場に所属し91勝を挙げた元騎手で、キャスターの赤見千尋さんはこう言う。
「スタートが上手だし、道中の姿勢も綺麗ですよね。きょうの6鞍がすごくいい経験になったと思います。これからもたくさんの騎乗機会を得れば、もっと上手くなります。競馬の取材は初めてというメディアを呼んだのも素晴らしい。楽しみな騎手が出てきましたね」
この日、川崎競馬場を訪れたファンは7214人。売上げは10億5752万3200円(トリプル馬単を含まず)。前回開催の木曜日は、入場者数が3367人。売上げは7億8892万7800円だったから、売上げはプラス2億7000万円ほど、入場者数は倍以上という“菜七子効果”が見られた。
今週末、JRAでの騎乗は3鞍。初勝利なるか。
なお、武豊のアムールブリエが勝った重賞のエンプレス杯が行なわれた前日(3月2日)の入場者数は6395人。それをも1000人ほど上回った。
「きょうの自分は30点でした。本当に勉強になりました。乗せてくれた調教師さん、馬主さん、厩務員さんに感謝しています。まだまだ実力がなく、人間としても騎手としても未熟なので不安はあります。それでも、これだけたくさんの方々にとり上げてもらうのは、とても嬉しいです」
特別に用意された会場で行われた最終レース後の会見で、藤田は言った。注目は単なるプレッシャーでは終わらなかった。頬が上気していたのは、6鞍に乗った疲れからではなく、はにかみからのようだ。彼女は、見かけよりずっとタフなのかもしれない。
ひな祭りの川崎競馬場に舞い降りた女神は、競馬界の救世主になるか。
今週末、彼女の「本拠地」であるJRAの競馬場での騎乗は3鞍。初勝利が待たれる。