サムライブルーの原材料BACK NUMBER
齋藤学がメッシとネイマールを盗む!
最大の武器ドリブルを現在改造中。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/02/16 10:30
2015年は31試合に先発してキャリアハイの7ゴール。齋藤学、2度目の飛躍に向けて虎視眈々である。
太腿の裏の筋肉、そして高くなった目線。
そのための準備は、オフでやってきた。「外国人の選手は裏がガシッとしている」と太腿の筋肉も「裏」を意識してつけてきた。
ボールを持っていても、持っていなくても、前傾すぎず、後傾すぎず。相手に激しく当たられてもバランスを崩すこともない。目線が一つ高くなることで、当然視野も広くなる。
「スピードも出ているし、仕掛けるドリブルもできている。いいチャレンジができているんじゃないかなって思っています」
試行錯誤の段階であるとはいえ、十分な手応えを感じることができているようだった。
「欧州に行くタイミングはベストの時がくる」
今冬、齋藤には欧州移籍が噂されていた。
報道にあがっていたのが、武藤嘉紀の在籍するマインツ。正式オファーには至らなかったものの、2年前にはヴォルフスブルクからオファーが届くなど欧州からマークされている。
欧州でプレーすることは、小さいころからの夢。しかし欧州移籍が見送りになったとて、彼に失望の色はなかった。
齋藤は、こう考えている。
「(海外に)行くタイミングというのはベストのときにやってくる、と思ってる。だから今はまだベストじゃないんだな、と。今年26歳になるんで海外に行くには『そろそろいい年でしょ』とも周りからは言われますけど、僕は気にならない。今やっているチャレンジも、日本でいろいろ勉強できているからやれるというのもありますから。マリノスで成長できなかったら、海外に行っても成長できない。ここで成長を続けていくことで、ベストのときが来ればいいかなって」
彼は力強い目で、そう言った。
マリノスで成長すべきこと――。
ロンドン五輪代表だった彼は、もはや「若手」ではない。上の世代には中村俊輔、中澤佑二らベテラン勢、下の世代には喜田拓也、新加入の前田直輝ら若手がいて、中堅になる。攻撃の中心になっていくという自覚を今まで以上に強めている。齋藤の逆サイドを担ったアデミウソンがこなしていた役割を、己に課そうとしていた。