フットボール“新語録”BACK NUMBER
ペップの“鬼軍曹化”に選手は不満。
バイエルンが一触即発の火薬庫に。
posted2016/02/08 11:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
AFLO
「私がミュンヘンに来たときから、ミーティングの内容が外に出ている」
ジョゼップ・グアルディオラ(バイエルン監督)
サッカーにおいて真に難しいのは、戦術を練ることではなく、人間の感情のコントロールなのかもしれない。
今、バイエルン・ミュンヘンは不穏な空気に包まれている。きっかけは1月28日付の『キッカー』誌で、ある選手が「チームの雰囲気が良くない」と暴露したことだった。
『キッカー』誌は「グアルディオラが圧力を高める」という見出しとともに、次のような内容を報じた。
「後期開幕に向けた週のミーティングで、ペップ・グアルディオラはバカンスから体重オーバーで帰ってきた選手たちを叱責した(『ビルト』紙によれば、リベリーとビダルと言われている)。プロとしての態度に不満を持ったのだ。監督は選手たちへの圧力を高めている」
“鬼軍曹化”したペップに選手は困惑。
昨年末、ペップが今季限りでバイエルンを去ることが確定し、さらに今月マンチェスター・シティの監督に就任することが発表された。ラスト4カ月は、ペップのバイエルンにおける集大成になる。目指すは史上初のブンデスリーガ4連覇、そして過去2シーズン手にできなかったCL優勝だ。
ペップは選手たちに「最高の結果を手にするには、全員のトップフィットが必要だ」と伝え、プロ意識を高めることを要求した。練習がない休日にミュンヘンの外に出る際には、事前にクラブへ報告することも義務付けられ、門限の導入まで検討された。ペップの“鬼軍曹化”だ。
そういう監督の豹変ぶりに、選手たちは困惑している――。それが『キッカー』誌の記事の趣旨である。
冬のドーハ合宿を取材した際、選手が和気あいあいとシュート練習に興じていたら、つなぎのパスが弱いことにペップが怒り、「こう蹴れ!」と自ら示したシーンがあった。とにかく指示が厳しい印象を受けたが、それがピッチ外にも及んでいたのである。