プレミアリーグの時間BACK NUMBER
現実味を増してきたレスターの優勝。
オッズは6000倍から8倍、黒星は最少。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/01/30 10:40
岡崎慎司も、FW登録の選手の中では2番目に多い出場時間と得点数を記録して存在感を発揮している。
カンテは相手にとって「うんざりするほど嫌な存在」。
攻撃時に果敢な姿勢を見せるレスターの失点数は、3、4点差だがマンCとアーセナルよりも多い。クリスマス前から4位につけているトッテナムは、レスターの26失点に対してリーグ最少の19失点で23節を終えている。レスター最終ライン中央のロベルト・フートとウェズ・モーガンは、フィジカルは十分でも機動力に欠ける。そのCBコンビの手前には可動式の中盤の盾が不可欠だ。
例えば、相手監督のジョゼ・モウリーニョに引導を渡す結果となった16節チェルシー戦(2-1)。ゴールを決めたのはバーディーとマフレズだったが、筆者の目はカンテに奪われ続けた。チェルシー視点で物を言えば、いて欲しくない所に顔を出しては執念深くボールを奪う、うんざりするほど嫌な存在だった。
その2週間後、前節リバプール戦での惜敗(0-1)を受けてリアクションが注目されたマンC戦(0-0)でも、カンテの存在は効いていた。後半途中でMFのギョクハン・インレルに代えてFWのレオナルド・ウジョアを投入したラニエリの積極策も、ホームゲームであること以上に、中盤にはカンテがいるという心強さがあればこそだったに違いない。
そして、優勝予想のオッズが16倍から半減した23節ストーク戦(3-0)は、カンテの今季ベストゲームと評してもよい。
中盤のボールハンターとしてだけではなくサプライヤーとしても精力的に働いた。無難なショートパスには留まらず、右に左にと奪ったボールを散らし、中央にスペースが空けば自ら持ち上がる。その両足からはタイミング良くスルーパスも繰り出され、終盤に相手選手2名をかわして送った1本は、バーディーからピッチ上で拍手をもらったほどだ。
そのエースがゴールを決めて6試合ぶりにリーグ戦無得点から脱した1勝には、マンオブザマッチに相応しいカンテの活躍もあり、イタリア人指揮官が歓迎するリーグ戦5試合目の無失点勝利という付加価値も加わった。
岡崎のライバルFWを獲得する可能性は?
攻撃が好調なストークを零封した直後には、新FWのターゲットがエデル(サンプドリア)とアーメド・ムサ(CSKA)に絞られたとの噂も浮上した。同節ではウジョアに2カ月ぶりのゴールが生まれ、岡崎慎司も献身的にリーグ戦計4得点以上の貢献をしているが、ラニエリはマンCとリーグ最多得点を争っている攻撃力の補強にも余念がない。
もちろん、バーディーのパートナー候補が1人増えたとしても、選手層を含む総合的な戦力ではマンCとアーセナルに劣る。こればかりは優勝候補に化けた後も変わらない、下馬評では降格候補だったチームの現実だ。