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リオ五輪の新設ゴルフコースに潜入。
勝負を左右する“風”と周辺環境。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byAP/AFLO

posted2016/01/31 10:50

リオ五輪の新設ゴルフコースに潜入。勝負を左右する“風”と周辺環境。<Number Web> photograph by AP/AFLO

2015年10月に撮影された造成中のレセルバ・マラペンディGC。南は池とルーシオ・コスタ通りを挟んで大西洋に面している。

参考になりそうなコースは?

「風がほとんどなければ、男子のトッププロならば4日間で20アンダーくらい簡単に出るのでは。ただ、セントアンドリュースのように風が吹かなければ61、62といったスコアが出るコースは世界中にありますよね」

 五輪開催時期の冬は、基本的に北西からの強風。コース内には背の高い木がないため、影響を受ける。

 フェアウェイは日本の多くのコースで採用されている高麗芝で作られているが、うねりが激しく、平らなライは少なそう。沖縄にもあるシーショアパスパラムという芝のグリーンも約500㎡から1100㎡と大きさにバラエティがあり、段差も多く、大きい。両サイドにラフがなく荒地で構成されている点、男女が同コースで行われる点では、2014年の「全米オープン」の舞台となった米国パインハーストの経験が活かされる。

 ティグラウンドは日本のゴルフ場のように鮮明に区画されているわけではなく、ところどころ斜めになっている箇所もあり、セッティングする側の自由度が高くなりそう。五輪のルール・オフィシャルは世界各ツアーから寄せ集めて構成され、昨今の流行からいえば、4日間の中でティをあちこちに動かす可能性も高そうだ。

選手村から車で15分の好立地。

 ……といったところが、今回の“山中レポート”である。

 しかしながら、同氏の丁寧な話に耳を傾けていると、1世紀以上ぶりに復活する五輪ゴルフは、その土地柄もあいまって、戦いはコースの中に留まりそうもない。

 レセルバ・マラペンディGCのあるバッハ(Barra)地区は、新興の高級住宅街。空港から南西へ約35km、開会式やサッカーが行われるマラカナン・スタジアムからは約25km離れているが、選手村もこの地域に作られる。選手村からコースまでは自動車で15分程度。日本食などが用意されるJOCのサポートハウスも、コースから15分の位置に設置される。

 ラグビーやバスケットボールが開催される北部のデオドロ(Deodoro)地区、トライアスロンなどを行う東部のコパカバーナ(Copacabana)へは選手村から1時間前後かかることもあるというから、ゴルファーは他競技の選手たちに比べて恵まれているといえそうだ。

 とはいえ、懸念すべき点は他にある。合同施設では現地の日本大使館からは「ブラジルでは荷物はなるべく少なく。お金はなるべくもたないように」という指導があった。

【次ページ】 強盗に襲われたら抵抗はせず、まず持ち物を……。

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