マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2位の意外な顔ぶれと“一芸”指名。
2015年、ドラフトは新たな時代に。
posted2015/10/28 10:50
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
野球の現場では、人材不足をなげく声が高かった「2015ドラフト」。
ふたを開けてみれば、昨年より7人多い88人(育成ドラフトのぞく)の選手が指名されて幕を閉じた。
繰り上げ1位(俗称・はずれ1位)の4選手も含めて、「最初の12人」は想定通りだった。1位指名された選手を指名順に挙げてみよう。
楽天 オコエ瑠偉(外・関東一高)
DeNA 今永昇太(投・駒澤大)
オリックス 吉田正尚(外・青山学院大)
中日 小笠原慎之介(投・東海大相模)
西武 多和田真三郎(投・富士大)
広島 岡田明丈(投・大阪商業大)
ロッテ 平沢大河(内・仙台育英高)
阪神 高山俊(外・明治大)
日本ハム 上原健太(投・明治大)
巨人 桜井俊貴(投・立命館大)
ソフトバンク 高橋純平(投・県岐阜商)
ヤクルト 原樹理(投・東洋大)
この12人に、熊原健人(投・仙台大)、近藤大亮(投・パナソニック)を含めた14人が“1位”とにらんでいたが、この2選手も2巡目早々に指名を受けて、そこまでは順当だったのだが、会場を埋めたおよそ1000人のファンたちが、そして報道エリアにひしめく記者たちがいっせいにどよめいたのは2巡目だった。
楽天の吉持、西武の川越にどよめきが。
その2巡目が、楽天の吉持亮汰(内・大阪商業大)で始まって驚いた。
50m5秒7ともいわれる快足の遊撃手。中日、広島、日本ハムなども高く評価して、敏捷なフィールディング能力は、外野手にしたら球史に残る選手になれると、私自身も楽しみにしている選手だ。
それでも、“3位”相当の選手だと思っていた。まさか2位の、それも先頭をきって指名されるとは……。
驚いていたら、西武が川越誠司(投・北海学園大)を指名してきた。
ライナーの軌道で80m近く投げられる地肩の強さと、50m5秒台のバネ。3年時には140キロ後半を投げて注目された左腕だ。しかし今季は、春、秋と2度の右太もも肉離れを発症して不本意な結果に終わっている。ただしこの快速左腕、打者として高く評価していた球団もいくつもあった。つまり、つぶしの効く選手でもある。