前田と黒田不在の可能性の中、来季は先発に。

「悔しかったら練習するしかない。今年は悔しかったことも、うれしかったこともいろいろ経験させてもらった。中継ぎの経験を生かして、来年は先発で勝負する」

　試合終了後、再び先発として戦う来季を向いた大瀬良。その目にはもう涙はなかった。

　一夜明け、大瀬良はマツダスタジアムで早くも動き始めた。広島は来季、今季のチームを支えた両輪がともにいなくなる可能性がある。前田はポスティングによる米大リーグ移籍。黒田は現役引退の可能性を残す。中継ぎとしてチームの勝敗を背負った大瀬良は来季、先発に復帰する。そのとき、今季よりもずっと重たい責務が両肩に乗っているかもしれない。それでも大瀬良は前を向く。

「完投できる先発を目指します」

　この秋の悔しさを胸に刻んだ男は、強くなって再びマウンドに帰ってくる。