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スプリンターズSは「女の戦い」に!
中心はベルカントも、混戦は必至。
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/10/03 08:00

1000mのアイビスサマーダッシュで2馬身差をつけて勝ったベルカントの強さは本物だ。
ベルカントの勝利をほのめかす数々の要素。
ベルカントは、前走の北九州記念で、デビュー以来無傷の5連勝だったビッグアーサーを2着に負かした。それにより、ビッグアーサーは賞金不足でこのスプリンターズステークスに出走できなくなったわけだが、本番に向かうプロセスで、怖いライバルを自力で排除してしまうあたりも、「女王」となるにふさわしい強さではないか。
オーナーの前田幸治氏は、先ごろ引退したキズナのオーナー・前田晋二氏の兄で、生産したノースヒルズの総帥でもある。「チームノースヒルズ」の悔しさをベルカントで晴らす――というシーンはいかにもありそうだ。
また、武豊のJRA重賞300勝という前人未到の記録が、この大舞台で達成される可能性もある(土曜日のシリウスステークスでやってしまうかもしれないが。騎乗するアウォーディーも前田幸治氏の所有馬だ)。
これまで、延べ8頭のサマースプリント王者がスプリンターズステークスに出走しながら一度も勝っておらず、2013年のハクサンムーンの3着が最高という嫌なデータもあるが、ジンクスや「常識」を叩き壊しながら突っ走ってきた武なら、それを「やり甲斐」ぐらいにしか考えていないだろう。
前も後ろも見ながら進められる絶好の7番枠を引いた。この馬が中心と見たい。
ライバルはウリウリ、ストレイトガール?
ベルカントを負かすとしたら、ウリウリ(牝5歳、父ディープインパクト、栗東・藤原英昭厩舎)かストレイトガール(牝6歳、父フジキセキ、栗東・藤原英昭厩舎)の「藤原勢」ではないか。
ウリウリはマイルを中心に、1800メートルや2000メートルも使われてきたのだが、初めての1200メートル戦となった2走前のCBC賞を完勝。前走のセントウルステークスこそ出遅れて2着に敗れたが、負けて強しの内容だった。
ストレイトガールは、ウリウリと逆に、スプリント戦を中心に使われ、1200メートルでしか勝ち鞍がなかったのに、今春のヴィクトリアマイルを制し、適性に幅のあることを実証した。中山は初体験となるが、こういうタイプは「初」がマイナスにはならない。