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「アジア最強」に挑むガンバの勝機。
宇佐美“以外”の選手の攻撃力が鍵。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/09/30 10:30
直前の柏戦でもゴールを決め、得点王争いで首位に並んだ宇佐美貴史。次の相手はアジアの巨人・広州恒大だ。
宇佐美の献身と、セットプレーが鍵。
もちろん組織的に守っていても、スーパーゴールで得点を奪われるかもしれない。その時はリスクを負って点を取りに行かなければならないが、実はガンバは攻撃に若干の不安を抱えている。
今野泰幸は言う。
「今の攻撃は正直、パトリック頼み。パトの前への推進力で相手のDFラインを押し下げて、(倉田)秋や阿部ちゃんが絡んでいい攻撃ができているけど、そこにサイドバックが絡んでという分厚い攻撃ができていない。(宇佐美)貴史が戻ってくるのは大きいけど、マークが厳しくなるだろうし、そういう時に他の選手がゴールを狙い、しかも恐がらずにいかに全体を押し上げていけるか。難しいけど、リスクを負わないと点は取れないんで」
宇佐美が戻ってくる分得点のチャンスは増えるが、当然マークもきつくなる。ただ、やり方はある。全北現代戦での2ndレグで相手が倉田にベタ付きしていたが、その時は倉田がうまいプレーを見せてくれた。
「自分にマークがついていたんで、あえてサイドに流れることでバイタルにスペースを作ることができた。そこにいろんな選手が入ってきてチャンスができていたんで、自分は汚れ役で消えてもいいという思いでやったのが逆にいい感じになった」(倉田)
宇佐美も、倉田のようにうまく味方を使うことができる。そうなると、点を取るためには2列目の選手の活躍が欠かせない。
他には、セットプレーがより大きなポイントになるだろう。柏はアウェイでの広州恒大戦でFKから先制点を奪った。中国選手が並ぶ最終ラインはボールウオッチャーになることが多く、人の動きについていけない。遠藤保仁が正確なクロスを入れれば、アウェイゴールを挙げる確率はかなり高くなるはずだ。
試合の最後をまとめる能力には不安も。
一方、不安なのは試合の終わらせ方である。準々決勝では、ロスタイムに米倉恒貴が劇的なゴールを挙げてホームで逆転勝ちをした。最後まで粘り強く、勝つことを考えて戦ったがゆえの神様のプレゼントのようなゴールだったが、本来は2-1で勝たなければいけない試合だった。そのためにクローザーとして金正也を投入し、ピッチの選手に改めて守り抜く意識を強調したが、警戒していたはずのセットプレーから失点し、苦しい状況に追い込まれた。
試合後、長谷川健太監督は「(守り抜くのは)難しい決断だった」と語っていたが、ガンバはそもそも守り切るスタイルのクラブではない。かといって以前のような、相手を圧倒して攻め切る強さもない。そうであるならば、ボールを握れている状況なら攻めのポーズを取りつつそのまま終わらせた方がいい。変に守備を意識してしまうと逆にバランスを崩しかねないのだ。