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「今度の試合もプレーするだろうね」
武藤嘉紀の開幕戦起用が濃厚!?
posted2015/08/07 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「ポリバレント」という言葉が日本で“流行った”のは、もう10年くらい前のことになる。2006年8月から日本代表の指揮をとったオシム監督が、複数のポジション・役割を遜色なくこなせる選手をそう表現して、重要性を説いたからだ。
武藤嘉紀はヨーロッパの舞台で、かつてのオシム監督が理想としたタイプの選手としてその名を轟かせていくことになるかもしれない。
7月からマインツに加わった武藤は、ここまでの6試合のテストマッチで、右のMFとセンターフォワードのポジションでプレーしてきた。ゲーム形式の練習では左MFでプレーすることもある。
先日のラツィオとの練習試合のあとのこと。マインツのシュミット監督はドイツ人記者たちに囲まれ、取材に答えていた。5分あまりの質疑応答を終えたタイミングを見計らい、取材エリアで監督に声をかけた。ウイングの選手というふれこみでマインツにやってきた武藤について、シュミット監督はどのように起用しようと考えているのだろうか。
ピッチの上で見せる情熱的な指導と同じように、ツバを飛ばさんばかりの勢いでスイス人指揮官による講義が始まった――。
武藤はサイドでのレギュラー当確かと思われていたが。
7月に発売されたキッカー誌の選手名鑑は、今シーズンのマインツの予想フォーメーションでは武藤を左サイドのMFの先発選手としている。昨シーズンの序盤戦は、ドルトムントからレンタル移籍中だったホフマンが不動の存在として目立っていたが、彼が負傷で戦列を離れてからは、マインツのサイドMFに圧倒的な存在感を放つ選手はいない。それゆえに、多くのメディアが武藤がサイドでレギュラーを獲得するのは確実だと予想したのだ。
ところが開幕前のプレシーズンでは、2人の選手がサイドで奮闘している。1人はかつてセビージャでプレーしていたハイロであり、もう1人が昨シーズンの後半戦から今シーズン終了時までの1年半の契約でレンタル移籍中のクレメンスだ。
ドイツメディアも、サイドのMFのレギュラー争いという観点では、この2人が「わずかに鼻の差でレギュラー争いをリードしている」と報じている。