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「今度の試合もプレーするだろうね」
武藤嘉紀の開幕戦起用が濃厚!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/07 10:40
英語を流暢に話し、スペイン語でも意思疎通が可能。そしてドイツ語も習得の意思を見せる「コミュニケーション力の怪物」武藤嘉紀に言語の壁はない。
大学時代に学んだスペイン語で話す武藤。
ハイロについては、昨シーズンはスーパーサブとしての起用が主だった。確かにスピードはあるものの、調子の波が大きく彼もチームに貢献できたとは言い難い。その才能の片鱗を見せたのは、9月のドルトムント戦で岡崎慎司の決勝ゴールをアシストしたときくらいだ。
今年のトレーニングキャンプでは武藤と相部屋になり、武藤は大学時代に第二外国語として履修したスペイン語を使ってコミュニケーションを取っているという。ラツィオ戦の試合前の整列時には、武藤に笑顔で話しかけていた。試合前にもかかわらずリラックスした表情を見せるのは、それだけ充実した時間を過ごせているからだろう。
さらに、現在は負傷で戦列を離れているデブラシスや、怪我のために出遅れている韓国代表のク・ジャチョルもいる。さらに、ドイツのU-23代表のマリも、このポジションでプレーすることが出来ないわけではない。
武藤がセンターフォワードでも使われる理由。
もっとも、武藤以外の攻撃的なポジションの選手は、複数のポジションで機能する選手ではない。それこそが、武藤がセンターフォワードでも起用される理由なのだ。
シュミット監督にその理由を確かめると、指揮官はスイス方言ではなく、ドイツ人に話すときのように丁寧なドイツ語で説明を始めた。
「ヨシは攻撃のポジションならば、どこでもプレーできる。左サイド、右サイド、9番(センターフォワード)でも。おそらく、彼は10番(トップ下のイメージ)の位置でもプレーできると考えているよ。今日(ラツィオ戦で)は武藤を9番の位置で起用して、マリと組み合わせた。自分たちがボールを持っている時に我々のフォーメーションは4-4-2となるのだが、2人のフォワード(武藤とマリ)は今日の試合でとても良い仕事をした。彼はとても速いので、左サイドでも右サイドでもプレーできる。チームにバリエーションをつけられるし、スピードは彼の武器だね」
シュミット監督の話が武藤だけにとどまらなかったことで、地元ドイツの番記者たちも再び集まってきた。端の方でこちらをながめていた日本人記者たちが押し出されそうになるほどの勢いだった。