フットボール“新語録”BACK NUMBER
ドイツ2部で戦術革命が始まった!?
ラングニック、衝撃の“4-2-2-2”。
posted2015/07/29 11:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「私が目指しているのは、なるべく高い位置でボールを奪い、 瞬時に切り替え、なるべく速くゴールに迫るサッカーだ。 相手に攻めるチャンスを一切与えない」
ラルフ・ラングニック(RBライプツィヒ監督兼スポーツディレクター)
「プロフェッサー」と呼ばれる男が、戦いの最前線に戻って来た。
ラルフ・ラングニックは2011年9月に燃え尽き症候群に陥ってシャルケを辞任すると、現場からは距離を置き続けてきた。2012年7月、レッドブルが運営する2つのクラブ、「レッドブル・ザルツブルク」と「RBライプツィヒ」を束ねるスポーツディレクターになったものの、あくまでオーガナイズ役だった。
両クラブのために戦術書を作って配り、「タレントに投資してさらに高く売る」という独自の移籍戦略を推し進めた。
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その結果、選手だけでなく監督も育っており、ロガー・シュミット(現レバークーゼン監督)やアレクサンダー・ツォルニガー(現シュツットガルト監督)は“ラングニック学校”の門下生だ。
これはただの、ドイツ2部の監督人事ではない。
元々ラングニックは、今季からザルツブルクは教え子に任せ、ドイツ2部のRBライプツィヒのスポーツディレクター職に集中する予定だった。ライプツィヒを本格的にレッドブルの看板クラブにするためだ。
ところが、新監督として交渉していたトーマス・トゥヘルをドルトムントに奪われ、さらにホッフェンハイムのギズドル監督の引き抜きにも失敗した。そこで「第3の選択肢」として、自らがスポーツディレクターと兼任でライプツィヒの監督を務めることになったのである。
これはドイツ2部における監督人事にすぎず、普通ならば大したニュースにはならないだろう。
だが、ラングニックはただの監督ではない。イタリアのアリゴ・サッキすらも太鼓判を押す、戦術界の常識の破壊者なのだ。今も、約3年間スポーツディレクターとして“実験”してきた成果をピッチにぶつけようとしている。