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PK“6連続セーブ”に“阻止率83%”。
インテルの異能GK、ハンダノビッチ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/04/29 11:00

PK“6連続セーブ”に“阻止率83%”。インテルの異能GK、ハンダノビッチ。<Number Web> photograph by AFLO

今季はセリエA、そして出場したELでもPKストップを記録しているハンダノビッチ。憧れのGKはブッフォンとシュマイケルだという。

小国出身、しかし対PK能力はブッフォンを上回る。

 欧州カップ戦や5大リーグで活躍する母国スロベニアの同胞選手はほとんどいない。欧州サッカーの裾野は広大で、博識な人が数多いるとしても、ハンダノビッチがサッカー選手としての第一歩を記したスロベニア中部にあるドムジャレというクラブを知る人はどれほどいるだろうか。

 ハンダノビッチは、スロベニア代表の正GKとして2010年の南アフリカW杯に出場したが、決勝トーナメント進出はならず。EURO2012は予選で敗退し、多くのGKたちが競演した昨夏のブラジルW杯への出場も叶わなかった。

 サッカー選手なら誰しも晴れの舞台で戦いたい。小国出身というコンプレックスが、ハンダノビッチに冷徹な野心をもたらし、異能ともいえるPKセーブの技を磨かせたように思えてならない。

 ブッフォン(ユベントス)やディエゴ・ロペス(ミラン)など、一線級のGKが顔を揃える今季のセリエAにあっても、ハンダノビッチの対PK能力は傑出している。

「PKを止めるのは、俺の仕事だからだ」

 GKとしての総合能力で比べた場合、世界王者ノイアー(バイエルン)には及ばないかもしれないが、やや難ありとされる飛び出しのタイミングが改善されれば、今年の夏で31歳になるハンダノビッチは、これからキャリアのピークを迎えるはずだ。

 ハンダノビッチのインテルとの契約は、来シーズン限りで切れる。マンチーニ監督は「欧州でも屈指のGK」と高く評価するだけに、延長交渉を来季開幕までにまとめておきたいインテル上層部だが、トップレベルのGKは古今東西を問わずニーズが高い。

 マンチェスターの2強やローマが今夏のオファーを準備中、と現地報道が過熱する中、ハンダノビッチ本人は「シーズン中だから」とポーカーフェイスを崩さない。ただし、来季CLへ出場するクラブからの誘いとあれば、かつて大望抱いてスロベニアからウディネへ、ウディネからミラノへ渡ったように、新たなステップアップの機会と見るかもしれない。

 インテルに残るにしろ、新天地での戦いに身を投じるにしろ、これからもハンダノビッチと対峙するPKキッカーは、彼の凍てつくような眼差しに畏怖するだろう。

 一体どうやったら、そんなにPKを止められるのか。

 異能の男ハンダノビッチは、きっとこれまで通り、抑揚のない声で言い放つにちがいない。

「PKを止めるのは、俺の仕事だからだ」

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