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巨人の新ユニフォームがかっこいい!
「歴史の重み」こそが老舗の武器だ。
posted2015/03/18 10:35
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
NIKKAN SPORTS
巨人の選手が、かっこよく見えるようになった。おそらくは、好みの問題だろうが、ユニフォームが変わったからではないか。
巨人は今季からアンダーアーマーとパートナーシップ契約を結んだのを機に、ユニフォームを一新した。新しくなったと言っても今回は未来志向ではなく、伝統回帰である。
ベースは1953年モデルだという。アメリカのスプリングキャンプに参加したのを機に、米メジャーのサンフランシスコ・ジャイアンツ(当時はニューヨーク)とまったく同じデザインを採用した年で、巨人のユニフォームの歴史に初めてオレンジ色が加わった年でもあった。
昨年までのユニフォームと比較し大きく変わったのは、前面のラインと番号がなくなり、パンツのラインが一本になったところだ。そして何と言っても、胸文字が球団創設以来の伝統である花文字に戻った。
巨人や阪神の「歴史の重み」はアドバンテージである。
巨人といえば、やはりこの花文字だろう。
1953年に黒(あるいは濃紺)とオレンジのデザインが定番になった後もマイナーチェンジが繰り返されたが、もっとも大きく変わったのは2006年だった。アディダスと契約し、胸の花文字が角張った斬新なデザインに変更され、パンツ横の上部にアディダスの象徴である3本ラインが入った。
伝統チームであっても変わらなければならないという覚悟が感じられる改革だった。
日本最古のリーグ・東京六大学の早稲田大学もちょうど同じ頃からアディダス製のユニフォームを着用するようになったのだが、背番号の上にユニフォームと同色の、数センチの3本ラインが入っているだけだった。遠目どころか、相当近くまで寄らなければ気づかず、こちらはあくまで伝統を守った形だ。
この両伝統チームの考え方の相違は、プロとアマチュアの違いといってしまえばそれまでだが、当時のチーム状況や未来への展望という意味でも興味深かった。
頑迷に伝統を守るだけでは、朽ちていくだけだ。その一方でこうも思った。巨人や阪神といった老舗球団には、他の球団が真似しても未来永劫、真似できない「歴史の重み」がある。そのアドバンテージを生かさない手はない。その象徴がユニフォームだと思うのだ。