野球クロスロードBACK NUMBER
中畑、今中、高橋慶が語るキャンプ論。
“有望株”から化けるための「心得」。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/02/03 10:30
DeNAの中畑清監督は、会見でのエンターテイナーぶりとは裏腹に、練習には厳しさを見せる。猛練習の効果は、体験した自らが最もわかっているのかもしれない。
ブルペンでもバッターの嫌がるコースに投げているか?
シーズンで安定したパフォーマンスを持続できるだけの体力をキャンプで身につける。野手の最優先事項がそこにあるとすれば、投手はそこにバランス感覚も同時に求められる。走り込みで下半身を虐め抜くことはできるが、肩の消耗を考えると過度な投げ込みは選手寿命を短くする危険性があるからだ。
「だからこそ、ブルペンでは実戦を想定してピッチングをしなければならない」と話していたのは、今中慎二氏だった。
中日のコーチ時代、期待されながら開花できていない若手を数多く見てきた経験から、「ブルペンでは騙されない」と語気を強める。
「キャンプで質のいいボールを放る若手なんてなんぼでもいる。ほとんどがそこに騙されて、『今年のあいつはやってくれる』ってなるわけだけど本当は違うんだよ。バットの芯に当てられるコースにばっかり投げてもなんの意味もない。ストライクゾーンの1個、2個分低く投げるとか、バッターが嫌がるコースにどれだけいいボールを放れるか。それをキャンプからしっかりと体で覚えさせないとシーズンで結果は出せない」
若手にとってキャンプとは、生き残りを賭けたサバイバルである。
先人たちが教えてくれた、レギュラーになるための心得。これを実行に移せるのは、キャンプの時期だけなのだ。