スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
イチローとマイアミの空。
~マーリンズ移籍で3000本安打は?~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byKYODO
posted2015/01/24 10:40
2014年12月のイチロー杯争奪学童軟式野球大会で、少年たちを激励するイチロー。今オフも神戸で自主トレを行ない、キャンプインに備えている。
3人のここまでの歩みは?
デビューが早かったのはスタントンだ。メジャーに昇格した2010年シーズンには、わずか100試合(359打数)で22本塁打を放ち、大器の予感を漂わせた。その後も、34本('11年)、37本('12年)、24本('13年)、37本('14年)と順調に本塁打を量産し、昨秋には総額3億2500万ドルの大型契約(2015~2027年の13年間)を結んでいる。つまりマーリンズは、当分の間、スタントンをチームの核に据えるという考えを公然と表明したにひとしい。
センターのオズナは、ダイナミックなパワーと粗さを併せ持つ選手だ。2013年は70試合に出場して73安打を放っただけだったが、'14年には153試合に出て23本塁打、85打点を記録した。ただし、盗塁は3個。エラーの数も少ないとはいえない。
一方、レフトを守る最年少のイエリッチはスピードが武器の選手だ。2013年は62試合の出場にとどまったが、'14年は144試合に出場して(582打数)、165安打、21盗塁。本塁打9本という数字も、体重が増えればもっと伸びるのではないか。守備も巧く、'14年にはナ・リーグのゴールドグラヴを受賞している(あとふたりの外野手は、ホアン・ラガレスとジェイソン・ヘイワード)。
イチローとタイプが近いのはイエリッチ。
こう見てくると、イチローに最も近いタイプの選手はイエリッチだ。守備と走塁にすぐれ、安打製造能力も高い。
一方、やや脆さを感じさせるのはオズナではないか。守備と走塁にスランプはないが、メンタル面の弱さを露呈させるようだと、意外な打撃不振に直面する可能性がないとはいえない。ただし、逆のケースも考えられなくはない。自信をつかんで波に乗り、一気に成長するケースも十分に考えられるからだ。ヒスパニック系の若手(オズナはドミニカ共和国の出身)は、ときおりとんでもない大化けを見せることがある。