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今なお鋭く読める、日本テニス界の光と影。
~『さらば麗しきウィンブルドン』~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2014/12/19 10:00

今なお鋭く読める、日本テニス界の光と影。~『さらば麗しきウィンブルドン』~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『さらば麗しきウィンブルドン』深田祐介著 中公文庫 現在絶版

 錦織圭の大躍進で80年も前に世界の舞台で活躍したテニス選手の名が新聞、テレビに登場した。佐藤次郎、四大大会でベスト4が5回、世界ランク3位になった名選手。本書に収められた3編中メインの表題作は、その佐藤を中心に昭和初期の日本テニス界の光と影を描いた秀作だ。「佐藤に触れることはテニス界のタブーだった」とベテラン・テニス記者は教えてくれた。1934年(昭和9年)、デビス・カップ(デ杯)日本チームの一員としてヨーロッパ遠征に向かう途上、佐藤はマラッカ海峡で投身自殺した。その悲劇が長く尾を引いていたのである。

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