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王者の警戒が示す、錦織圭の成長。
フェデラーが講じた「不利」ゆえの策。
text by

秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byAFLO
posted2014/11/12 11:00

リズムを崩すことを徹底してきたフェデラーに翻弄され、2戦目を落とした錦織圭。33歳の大ベテランに、王者の力を見せ付けられる結果となった。
積極性が空回りし、アンフォーストエラーが30本に。
ストローク戦でも、フェデラーが優勢だった。ライジングショット気味のグラウンドストロークでテンポを上げ、錦織の自在な展開を封じた。試合が進むにつれて、錦織の積極性がことごとく空回りして、ラリーの早い段階でのミスが増えた。結局、錦織のアンフォーストエラーは30本に達した。
「全体的にグラウンドストロークのリズムが作れなかった。彼の早い展開のせいでもあるのでしょうが、プレッシャーをかけられて、少し焦ってしまった」
フェデラーの「いろいろ(戦術を)交ぜて、彼に気分よくプレーさせないようにする」という狙いがはまり、錦織の歯車は最後まで戻らなかった。
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フェデラーは、謙虚に錦織の力を認め、ストローク戦での相手の優位をなんとか崩そうと、周到な準備で試合を迎えたはずだ。ここ一番での集中力と気迫も、さすが超一流。大事な試合の戦い方を知っている、百戦錬磨の王者が錦織の勢いを受け止め、跳ね返した。
第3戦、やるべきことは決まっている。
錦織はラウンドロビン1勝1敗となり、ナイトセッションで初勝利を挙げたアンディ・マリー(イギリス)と並んだ。2日後に行なわれるラオニッチ戦が準決勝進出を大きく左右する一戦となる。
「(相手の)サーブをしっかり返すことがカギになる。なるべくグラウンドストローク戦に持ち込んで、リズムを作りたい」
やるべきことは決まっているが、勝ち抜けのかかる試合でそれができるか。
「あまり、くよくよもしていられない。次の試合にかかってくると思うので、いつもよりは気持ちの切り替えは早くなると思う」
錦織は、自分に言い聞かせるように語った。調子は落ちていない。初戦よりむしろ出来はよかったと見ることもできる。中1日のインターバルで、フィジカルとメンタルをどう準備するかが準決勝進出のカギになる。
