セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ミラン、固まる3トップの優先順位。
本田圭佑が確立したある「役割」。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/09/16 12:30
試合後、インザーギ監督はチームの司令塔として輝きを取り戻した本田圭佑に言葉をかけた。ミランが本当に生まれ変わったのか、次節ユベントス戦が正念場。
攻め続ける以外の選択肢がないという脆さ。
一方で、弱点も見えてきた。
インザーギのミランは、まだ90分間を通してゲームをコントロールできない。
ハイプレスをかけ、早いペースで攻め続ける前半には強いが、試合時間が残り30分を切ったあたりでペースが鈍ると、ゲームの主導権をみすみす渡してしまう。
リードしているにもかかわらず、攻め続ける以外の選択肢がないかのように、守勢に回ると途端に脆さを露呈する。
パルマ戦の89分に、DFデシーリオが犯した痛恨のオウンゴールはその象徴だろう。不測のバックパスにGKディエゴ・ロペスは処理を誤り、その際のプレーで右太ももを故障して次戦欠場が確定。先発したベテランのセンターバック2人も、後半の早い段階で退場(ボネーラ)と負傷(アレックス)によって両方ともいなくなった。
不安定な守備は夏の北米ツアー以来の課題だが、何とか凌ぎ切ったパルマ戦は、苦いながらも教訓としてチームに残るだろう。中盤のバランサーである主将モントリーボの復帰も待たれる。
昨季大差をつけられた王者ユベントスとの次節。
今週末、初秋のサン・シーロは3連覇王者ユベントスを迎える。
パルマでの乱戦を制した後、インザーギは次戦の大一番に向けて抱負を述べた。
「昨季、ユーベには勝ち点差を50点近くもつけられた。だが今日現在、2つのチームは並んでいる。うちのホームで戦うこの一戦に全力を尽くす。戦力差は、情熱で埋めてみせるさ」
本田にとっても、昨季のユベントス戦は相手の10番テベスに完敗した屈辱のカードだ。
昨季から本田はどれほど進化したのか。ミランは、本当に今季の3強を脅かす存在になれるのか。20日のゲームは、新シーズンの新たな物差しになるだろう。