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香川真司を襲った“3つの不運”。
いつか「夢の劇場」に凱旋を。 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byAFLO

posted2014/09/05 10:50

香川真司を襲った“3つの不運”。いつか「夢の劇場」に凱旋を。<Number Web> photograph by AFLO

ドルトムントでの練習に合流した香川真司。ギュンドアンらかつてのチームメイトと談笑する姿も見られた。

リトバルスキーが語る香川の「これから」。

「if(たら・れば)」の話は尽きないが、後ろ向きの話はこれで切り上げようと思う。いずれにしても賽は投げられたし、香川はすでにドルトムントで再び前を向いて歩み始めた。

 では、香川の「これから」に必要なものとはなにか。

 ヴォルフスブルクのスカウト部長で、香川をJリーグ時代から良く知るピエール・リトバルスキー氏は、示唆に富む助言を与えている。

「香川がドルトムントに戻ったのは良いことだと思う。長い選手生活の間には、一旦、仕切り直しをした方が良い場合もあるんだ。それは自分の経験からしても断言できる。

 むしろ重要になるのは、彼のこれからの動き方だろう。

 たとえばドルトムント時代の香川は怖いものなしだったし、のびのびとプレーして、なおかつ結果も出していた。それはセレッソ時代にもあてはまる。

 おそらくユナイテッドで苦しんでいた頃、香川は『なぜ、ドルトムントの頃のようにプレーできないのか』と自問自答をしていたと思う。サッカー選手というものは皆、自分が一番好調だった頃のイメージを明確に持っている。とりわけ香川は、あれだけ輝いていたのだからなおさらだろう。

良いイメージは大切だが、囚われてはいけない。

 この手のイメージを持つことは、選手にとって役に立つ。どの選手もある時期にくれば、自分のプレースタイルをマニュアル化(方法論化)していかなければならないからだ。ただし選手は、過去のイメージに囚われすぎないようにする必要もある。チームも選手自身も常に変わっていくわけだからね。

 つまりこれからの香川は、過去の良いイメージを持ちつつも、それに囚われすぎずに、ステップアップしていかなければならないことになる。

 でも僕は心配していない。彼は確かな才能を持っているし、何よりも自分を律し、サッカーに打ち込んでいく真面目さを持っている。彼ならばこの課題もクリアーしていくはずさ」

【次ページ】 オールド・トラッフォードへの凱旋を夢見て。

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