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米国の大御所が突きつけた「三行半」。
クリンスマン体制の功罪を問う。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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posted2014/07/28 10:30

米国の大御所が突きつけた「三行半」。クリンスマン体制の功罪を問う。<Number Web> photograph by Getty Images

延長前半に2点を奪われるまで、ベルギーの猛攻に必死に抗ったティム・ハワード。ファーガソンに招かれて以来、プレミアでプレーするGKの意地を見せた。

ありがとう、そしてさよならクリンスマン。

 クリンスマンに代表を任せたことに関しては、一つの試みとしては良かったという主張もあるだろう。彼はW杯で戦った経験も豊富だし、世界トップクラスの監督だ。

 しかし全体的に見るならば、クリンスマンは結果を出すのに失敗した。

 例のベルギー戦は、負け試合だということを忘れてはいけない。アメリカ代表がブラジル大会で戦った4試合のうち、勝利したのは1試合のみ。これは成功でもなければ進歩でもない。クリンスマンは解任されてしかるべきだ。

 ならば代わりはどうするのか。後任監督はアメリカ人でなければならないし、ヒスパニック系の選手にもチャンスを与える人物でなければならない(クリンスマンは、ヒスパニック系の選手にほとんどチャンスを与えなかった)。

 後任候補としてはタブ・ラモスがいる。若すぎる? そうかもしれない。だがクリンスマンがもたらした「歪み」を修正するために、リスクを冒して起用してみる価値はあると思う。ラモスは経験があるし、若手の才能を見抜く目を持っていることをU-20のチームで証明している。また彼は、高いプロ意識を持っている点でも評価されてきた。

 物事を変えるべき時は、まさに今だ。

「新しい方向に進むことを決意した」というフレーズを借りるなら、その方針を本当に当てはめるべき時は今なのだ。クリンスマンが座長を務める楽隊は、僕たちをどこへも導いてはくれない。

(協力、『サッカー・アメリカ』 http://www.socceramerica.com/

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