スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
真のMVPは“サッカー界のゲバラ”だ。
マスチェラーノに大きな喝采を!
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAmin Mohammad Jamali/Getty Images
posted2014/07/16 10:30
マスチェラーノ(写真中央)は、決勝戦でも高い危険察知能力と果敢なタックルでドイツの攻撃陣を封じていた。
「サッカー好きにとって彼はチェである」
悲願の優勝は叶わなかったが、勝つために全てを捧げるその姿はアルゼンチンのみならず世界中のファンの心を打ったはずだ。まだ30歳。4年後のワールドカップを目指してほしいし、来季以降は残留が濃厚となったバルセロナでも同様のキャプテンシーを発揮してくれることを期待したい。今大会を通して彼が示したハードワークや献身性こそ、近年のバルセロナに欠けていたものなのだから。
最後に、独特の表現でマスチェラーノを称える面白い記事を見つけたので紹介したい。アルゼンチンのスポーツ紙『オレ』に掲載されたその記事のタイトルは、先述のタックルのエピソードに絡めて「Mascherano」+「Ano(=肛門)」で「MascherAno」。
「マスチェラーノがパンプローナの牛追い祭に行けば、牛たちが走って逃げる。
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マスチェラーノはマル・ボタナ(8人の子供を出産した有名な料理人/テレビタレント)と一夜を共にしても彼女を妊娠させたりしない。
マスチェラーノがタマネギの皮を剥けばタマネギが涙を流す。
そしてマスチェラーノがメッシのワールドカップでプレーすれば、メッシが彼に拍手を送る。(中略)
マスチェラーノはファンを惹き付ける。女性だけじゃなく、男たちも彼のためなら死ねる。それがフットボール狂ならなおさらだ。サッカー好きにとって彼はチェ(ゲバラ)であり、(南米の解放者)サンマルティンであり、ランボーであり、マラドーナなのだ」