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スペイン式ポゼッションのさらに先へ。
“未来のサッカー”でドイツがW杯制す。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/07/14 12:15

スペイン式ポゼッションのさらに先へ。“未来のサッカー”でドイツがW杯制す。<Number Web> photograph by Getty Images

2002年は準優勝、自国開催の2006年は3位、2010年も3位。トップクラスの実力を持ちながらあと一歩届かなかった栄冠を、南米の地で欧州勢として初めて手にしたドイツ。この勢いはしばらく止まりそうにない。

4バックの背後には、手も使えるリベロがいた。

 今大会におけるドイツの戦いぶりは、前回大会で王者スペインが指し示したポゼッションプレーのさらに先を行くものだったかもしれない。

 システムは「5-3-3」、いや「1-4-3-3」と言うべきか。大胆に最終ラインを押し上げる4バックの背後に、手も使えるリベロがいた。「走る守護神」ノイアーだ。2人のセンターバックが敵陣に入って積極的にパスワークに参加し、相手を深々と押し込む破格のポゼッションを最後方から支えていた。11人で攻めて守る未来像へ、さらに一歩近づいた。

幅と深さを同時に追求したダイナミックなポゼッション。

 パスワークも、よりダイナミズムにあふれていた。天才クロースの放つロケットのようなサイドチェンジに象徴されるように、より速く、より遠くへボールを動かすパスワークを操ることで相手のコンパクトな包囲網を破る方向性を示した。ここにドイツ伝統の走力が絡み、足元だけではなくスペースへ球を送り込むことで、攻撃の選択肢が広がっている。ポゼッションとカウンターを自在にスイッチできる一因だろう。攻撃の幅と深さを同時に追求したダイナミックなポゼッションが、新しい時代を切り開いていくことになるのではないか。

 チームの平均年齢は25.7歳だ。メンバーの多くがさらに経験値を高め、4年後のロシア大会に臨むことができる。不運なケガで今大会を棒に振った鬼才ロイスを含め、将来性豊かなタレントが国内にひしめいている。今大会の優勝は集大成というよりも、ドイツ新時代の始まりと言っていい。今回のチームの母体となった名門バイエルンの行く末を含め、ドイツのフットボールはさらなる進化、発展を遂げることになるのではないか。

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