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橋口調教師、ダービー初制覇の「涙」。
ワンアンドオンリーと追う新たな夢。
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![島田明宏](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/-/img_dc43f384ba4fc9b5cf3d05b268d3384f15734.jpg)
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/06/02 11:50
![橋口調教師、ダービー初制覇の「涙」。ワンアンドオンリーと追う新たな夢。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/7/700/img_b7e662a92178734ae895e61904e14f38342591.jpg)
2分24秒6でダービーを制したワンアンドオンリー。母の父タイキシャトルという血統から距離適性が不安視されていたが、杞憂に終わった。
ラスト400mからの、イスラボニータとの壮絶な叩き合い。
ラスト400m地点で前があき、内のイスラボニータとの壮絶な叩き合いが始まる。ラスト100mでこの2頭が抜け出した。そこから1完歩ごとにワンアンドオンリーが前に出て、3/4馬身差で「競馬の祭典」の頂点に立った。
「直線までの過程が上手くできていなかったので、弾けるという自信はなかった。追ってもそんなに伸びないんじゃないかと思いましたが、よく伸びてくれた。最後は必死でした。いつもは後輩に『下を向いて追うな』と言っているのですが、何も考えられなかった。橋口先生の残り少ないチャンスで勝つことができてよかったです」
2着に敗れたイスラボニータの蛯名は、
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「きょうは枠の差です。馬場の内がいいので、こっちは外の13番枠から内に入らざるを得なかった。向こう(2番枠のワンアンドオンリー)は黙ってあの位置につけられたから、その差は大きい」
と悔しがった。
トーセンスターダムに何が起こったのか。
2番人気のトゥザワールドは、中団から今ひとつ伸び切れず5着に終わった。手綱をとった川田将雅はこう話した。
「もう少し前につけたかったのですが、馬が進んでいかなかった。最後は盛り返していましたが、予定していたのとは違うレース運びになってしまいました」
ウオッカ以来7年ぶりに牝馬として参戦した4番人気のレッドリヴェールは、前走からマイナスkgとデビュー以来最低の410kgに馬体が減ってしまったことが響いたのか、見せ場なく12着に終わった。
「雰囲気がよかったので楽しみにしていたんだけど、マイル戦のような切れ味がなかった」
と騎乗した福永祐一は首を傾げた。
5番人気のトーセンスターダムは、ラスト300m付近で急に内によれて内ラチに衝突。バランスを崩して失速し、16着と予想外の大敗を喫した。
「内ラチの出入口で、馬が物見をして手前を替えた。こんな馬じゃないんですけど、若さが出たのかな。『さあ、ここから3頭の叩き合いだ』と思ったところだったので、もったいなかった」
と、武はやり切れない表情で語った。