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夏場所まさかの負け越しの遠藤。
10kgの体格差と、増量のリスク。
posted2014/06/02 10:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
大相撲夏場所が終わったが、平日でも「満員御礼」の垂れ幕が見られたのは、先場所は負け越しはしたが、これまでとんとん拍子に出世してきた遠藤と、鶴竜の横綱昇進があったからだろう。
私も遠藤が楽しみで、大相撲中日8日目に国技館に足を運んだのだが……、遠藤が稀勢の里に吹っ飛ばされたのには、心底、驚かされた。
ほんの数秒前、遠藤が有利な体勢を作っていたからだ。
そして9日目には、横綱・白鵬が「電車道」で遠藤を一気に押し出し。
中盤から遠藤は負けが混みだし、12日目には将来のライバルと目される大砂嵐のかち上げに一発で沈んだ。
夏場所の遠藤を見ると、上位を狙っていくにはまだまだ時間がかかるという印象を持った。
私が先にあげた稀勢の里、白鵬、大砂嵐戦の内容があまりにも一方的過ぎたからだ。
上位陣の「肉体」が簡単に太刀打ちできるものではないことが明白になった。
厳然と立ちはだかる「体重差」。
そこで、遠藤が勝った力士と、負けた力士の体重を調べてみることにした。
遠藤の体重は146kg。幕内力士の平均体重は158.6kgだから、軽量の部類に入る。夏場所では7番勝ったが、その内訳を見てみると、
旭天鵬 151kg
玉鷲 164kg
鶴竜 155kg
豊ノ島 154kg
千代鳳 171kg
嘉風 140kg
貴ノ岩 148kg
と、170kgを超す巨漢、千代鳳と玉鷲を除けば自分より軽い相手か、プラス10kgの範囲の力士にとどまっている。