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「個」対「インテンシティ」のCL決勝。
サッカーの“正解”を巡る大一番に。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2014/05/22 10:30
3月2日のリーガでは、2-2で引き分けたレアルとアトレティコ。対照的なスタイルの両雄だが、ロナウドとジエゴ・コスタという絶対的エースを擁する点は共通している。
リスクを恐れない“縦のワンツー”とは。
アトレティコの速攻でよく見られるのが、“縦のワンツー”だ。前にいる選手にパスを当てて、1タッチの落としを再びダイレクトで前へ出す。縦に速く攻め上がる攻撃はミスが起こる可能性も高いが、攻守においてリスクを恐れないのがシメオネ流のサッカーだ。
すでにインテンシティは、昨季のCLでもトレンドになっていた。ドルトムントが速い切り替えと激しいプレスで準優勝。「走る」ことの効果を知らしめた。そこにアトレティコはスペイン流のしたたかさと細かい技術をプラスし、より進化した“インテンシティ代表”としてファイナルの舞台に上がる。
「世界最速のDFでも、レアルのスピードは止められない」
一方のレアルは、戦術を瞬時に破壊できる怪物がそろっている「個」のチームだ。言うまでもなく、左翼のクリスティアーノ・ロナウドと、右翼のベイルである。
バイエルンを率いるグアルディオラの一言に、レアルの本質が凝縮されているだろう。ペップは準決勝2ndレグの前日会見でこう語った。
「世界最速のDFをそろえても、レアルのスピードを止めるのは難しい」
悪い予感は的中し、バイエルンは0-4で粉砕された。
余談ながら、この2ndレグ前、バイエルンのチーム内に大きな迷いが生じていた。1stレグでカウンターから1失点し、その恐怖が選手たちに残っていたからだ。そして起こったのが、選手の戦術への口出しだった。
スポーツビルト誌によると、2ndレグの直前、シュバインシュタイガーがペップに対して「ダブルボランチにしてほしい」と進言。シュバインシュタイガーは昨季のハインケス・モデルの方が、レアルと相性がいいと考えたのだ。ペップは進言を採用して、4-2-3-1で決戦に臨んだ。しかし、ペップイズムが中途半端になり、最大の武器である攻撃力が半減。ペップは試合後、ロッカールームで「私の選択が間違いだった」と謝罪した。
ただ、そうやってバイエルン内に迷いが生まれたのも、レアルのスピードが人類最強レベルだからだ。レアルのロナウドとベイルは、バイエルンの二枚看板のリベリーとロッベンとは、個としてのスケールがひと回りもふた回りも違った。