野ボール横丁BACK NUMBER
本当に努力は才能を凌駕できるのか?
“偉大なる凡人”小笠原道大という謎。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/01/19 10:30
ここ10年間、ほとんど3割30本塁打を記録している小笠原。どの打順に入ってもバントが少ないことでも有名
高校時代に本塁打0の男が偉大な記録達成へ。
高校時代に彼ぐらいの知名度しかなくとも、プロに入った選手は他にも多くいるだろう。
でも彼はパ・リーグで本塁打王になっているのだ。
高校時代に1本もホームランを打ったことがない打者が、である。
そして今では巨人のクリーンナップにすわり、年俸4億3千万円をもらい、あと11本で2000本安打を達成するところまで登り詰めている。しかも今シーズン13試合以内で2000本に到達すれば日本球界では川上哲治、長嶋茂雄につぐ3番目のスピード記録となる。
成長率の高さ、もっといえば「成り上がり度」では過去に彼を上回る選手はいないのではないだろうか。
彼の足跡を理解しようとするとき、やはり、どうしても「努力」という言葉が必要になってくる。
2000本まで残り11本――。そんなことを感じながら見れば、また思いも違ってくる。