例年なら新人王に匹敵する成績を残した選手が4人も。

　まともな実戦経験を積めない1年間の浪人生活というハンデを抱えながらチームトップタイの13勝を挙げた菅野に、高卒で10勝をマークした藤浪。シーズン終盤に守護神も任された石山。中継ぎ、先発とフル回転した松永あたりは、例年なら十分、新人王に匹敵する数字を残した。それだけ、今年のドラ1ルーキーがハイレベルだったのだ。

　増田、大谷も含めて言えることだが、「○」の選手たちには大きな共通点があった。

　それは、自分を理解していたことだ。

　菅野は「究極はストレートだけで抑えること」と理想を描きながらも、シーズンでは浪人中に習得したワンシームをはじめ、スライダー、カットボールを駆使する技巧的な投球を披露。終盤にはフォークを軸にさらなる安定感を見い出すなど、プロで通用するパフォーマンスを具現化させたことが、活躍の大きな要因となった。

　また、高卒ルーキーとは思えないメンタルの高さを印象付けたのが藤浪だった。

「高校もプロに入ってからも間違った練習をしているとは思わないです。自分の考えにブレはないです」

　体幹を強化するべくメディシンボールを使ったトレーニングなどを入念に行う。身長、腕の長さ。自身の体を熟知し、「引き出し」から適切な要素を用いて技術を高める。成績について本人は、「満足していない」と貪欲な姿勢を覗かせているが、それでも10勝は他を納得させるには十分な数字だった。

投手としては課題が、打者としては才能が見えた大谷。

　二刀流としてこの1年を大いに沸かせた大谷は、投手としては「クイックとかやらなければいけないことが多い」と自身でも語るように、課題が目立ったかもしれない。

　しかし、打者としては己の特性を把握し、その才能を発揮していた。彼はシーズン中、打撃についてこう語っていたものだ。

「プロのピッチャーはボールに力があるので。引っ張ることを意識してもいい当たりが出ないので、今の自分は逆方向を意識して打つことが大事なのかな、と思っています」

　最終的には2割3分8厘と低打率に終わったものの、7月までは3割を維持。8月以降も中軸を任されるなど、チームに欠かせない戦力として機能した。

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