フットボール“新語録”BACK NUMBER
元浦和コーチ・モラス雅輝の挑戦。
アジア人初の名門アカデミー入学!
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/11/18 10:31
フォルカー・フィンケ監督時代の浦和レッズでコーチ、通訳を務めたモラス雅輝。レッドブル・ザルツブルクのスタッフとして宮本恒靖と三都主アレサンドロの通訳も務めた。
「オーストリア・ブンデスリーガでは、 選手を育てて売るビジネスモデルに重点を置くのは 不健全だと考えられています
モラス雅輝(元浦和レッズ・コーチ)
もしJリーグにもこんなアカデミーがあれば、経営危機に陥るクラブを減らせるかもしれない。
オーストリア・ブンデスリーガ(以下、ブンデスリーガと略す)は自国のサッカーレベルを底上げするために、1996年に『スポーツマネージメント・アカデミー』を設立した。クラブ経営、スタジアム経営、移籍ビジネス、危機管理、戦略設定、人材マネージメント、タイムマネージメント、ライセンス制度といった専門知識を、約1年半に渡って学ぶ“超実践講座”だ。
その講座の第9期(今年1月にスタート)に参加しているたった1人の日本人が、元浦和レッズ・コーチのモラス雅輝だ。
アカデミーに入学するのはアジア人として初めて。
モラスは東京出身だが、高校はドイツの現地校に通ったため、ドイツ語をネイティブ同様に操れる。2009年から2シーズン、ドイツ人のフォルカー・フィンケ監督の下でコーチとして浦和に所属した。それ以前はオーストリア・サッカー協会育成アカデミーのU-19チームのヘッドコーチを務めており、今後も指導者としての活動を続けて行くつもりだが、「監督にもクラブ経営の知識が必要」と考えて『スポーツマネージメント・アカデミー』に願書を提出した。
モラスは狭き門を突破して入学試験に合格。アジア人が同アカデミーに入るのは初めてのことだ。第9期のメンバーは13人で、元ドイツ代表のカルステン・ヤンカー(現ラピード・ウィーンのコーチ)、2部クラブの副会長、大手企業のマネージャー、弁護士といった多様なメンバーが名を連ねている。
では、具体的にどんなことを勉強しているのか?