フットボール“新語録”BACK NUMBER
川崎Fの元トレーナー・西本直が教える
1対1のぶつかり合いに強くなる方法。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/09/20 10:30
川崎フロンターレのトレーニングコーチを辞し、広島で体のケア・トレーニング指導を行なう『Conditioning Studio 操』をオープンさせた西本直。
ぶつかってきた相手が転ぶ、という現象。
西本はこう説明を加えた。
「伸筋での防御は腕を伸ばすことに限らず、背筋を伸ばして良い姿勢を取るイメージだけでも効果があります。その体幹部分の延長線上に、腕が伸びていると言った方が自然かもしれません。また細かいことになりますが、腕を伸ばすときの効果音は、『ピン』だと伸ばすことに力が入りすぎてしまう印象なので、『スッ』という方が的確だと思います」
これは何も特別なことではなく、ヨーロッパの選手は自然に実践していることだ。彼らが相手からぶつかられるシーンを見ると、良い姿勢から腕をスッと伸ばして防いでいることが多い。もちろん日本にもこういう体の使い方ができている選手はたくさんいるが、まだまだ前屈みになっている選手の方が多いし、意識して腕の伸筋を使い、それを鍛えている選手は少ないのではないだろうか。西本は腕の伸筋を鍛えるために、腕を前に伸ばしたまま、重りを下に引くというメニューを取り入れている。
西本はあるFWにこの原理を伝えたところ、ぶつかってきた相手が転んでしまうという現象が起こった。ピンと伸ばした腕はまるで丸太のような強さになり、相手からしたら巨木に体当たりしているような感覚だったかもしれない。
西本は断言する。
「日本人サッカー選手は、腕の伸筋をもっとうまく使い、もっとうまく鍛えれば、ぶつかり合いに強くなります」
体を作るだけでなく、動きも作る――。そういう発想でトレーニングをつきつめれば、「日本人=フィジカルが弱い」というイメージはきっと払拭できるはずだ。