ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
「ボランチ長谷部誠」新天地で始動。
欧州でセンターラインを担う意味。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/09/19 10:30
昇格チームで現在最下位のブラウンシュバイク相手に引き分けという結果は喜べない。ビージンガー監督は「長谷部一人の力で勝てるわけではない」とコメント。専門誌の採点はキッカーが3.5、ビルトは4と辛口評価だった(最高が1、最低が6)。
ブンデスリーガで7シーズン目を迎えた長谷部誠が、新たな一歩を踏み出した。
2008年の1月から在籍していたヴォルフスブルクを去り、9月2日にニュルンベルクと契約を結んだ。日本代表での活動のためいったんチームを離れたが、移籍が決まって最初の公式戦となった9月15日のブラウンシュバイクとのアウェーゲームでは4-2-3-1の右ボランチとしてスタメン出場を果たした。
全体をコンパクトに保ったニュルンベルクは、清武と長谷部のパス交換から右サイドをえぐったチャンドラーにボールが渡り、そのクロスをフロウシェクが押し込んで前半28分に先制を果たした。
ニュルンベルクが主導権を握っていた前半、長谷部はチーム最多タイのボールタッチ数を記録し、チーム最多タイのパスを成功させた。だからこそ、清武はこう断言する。
「ハセさんが入って、前半はめっちゃボールおさまっていたし、こっちのペースで試合は進んでいました。ボールもつなげるし。俺はめっちゃやりやすかったですね。もうフィットしているんじゃないですかね、ハセさんは」
「彼は私たちを前進させてくれる選手」
一方、中盤でボールを落ち着かせようとしていた長谷部は、こう振り返っている。
「自分も味方の特徴を理解しないといけないし、味方にも自分の特徴をわかってもらえるようにしたい。そういう意味では、もう少しボールを自分のところで集めて、攻撃で組み立てるというか……。
苦しい時間帯は特にロングボールが多くなってしまって、それで蹴って、競って、負けて、という悪循環だったので。もう少し自分のところで落ち着かせて、サイドチェンジをしたり、自分たちがボールを持つ時間を長くしたいです」
しかし、後半になるとニュルンベルクは相手に押し込まれてしまい思うように攻撃に移れず、苦しくなってクリア気味のロングボールを蹴ることに終始してしまう。相手に同点ゴールを許し、長谷部にとっての初陣は1-1の引き分けで終わった。
「彼は私たちを前進させてくれる選手。質を持ちあわせているのは確かだ」とビージンガー監督は話しており、今後もこのポジションで起用されていくのは間違いないだろう。